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スペシャル駄話『名探偵荒馬宗介』第五回

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さて、予告した『荒馬宗介』の二巻の最終回、そして女性編集者について語っていきましょう。
が、まず、本編に入る前に、前回のちょっと訂正を。
共に第一巻に出てくる怪盗についてです。
第一に「怪盗名鑑」で「怪盗999」について言及しました。これ、予告状を受け取った者の狂言、とご紹介しましたが、記憶違いでした。
実際に犯行は行われます。つまり「怪盗999」は実在するのですが、やってることも見た目もただのオッサン。捕まった時もただ「犯人」とだけ呼ばれ、怪盗っぽさはゼロ。正直、怪盗にカウントするのはためらわれます。
第二に、もう一人怪盗がいたのを見落としていました。

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■ちなみにコイツも一回限りの出演。

普通に矢名完次が活躍していた初期編に出てきた、マジシャン怪盗「唯野天災」。ちなみに「ただのてんさい」と呼びます。同名のマッドサイエンティストが別の年度にも登場しており、山口太一センセのお気に入りのネタだったようです。

さて、というわけで第二巻についてなのですが、(詳しくは『荒馬宗介』タグを辿っていただきたいのですが)以前「最終回」と題した回でご紹介した一巻登場の女性編集者たちについてもちょっと復習してみましょう。

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■容疑者になり、宗介に助けられる主役回ですが、皮肉にもこの次の登場が最後の出番に……。

「吉岡邦子」
恐らく、全『荒馬宗介』でも最多出演じゃないでしょうか(何しろ未読分がまだどれだけあるかも分からないので、想像ですが)。
第一話からフラグめいた描写がなされ、事件に巻き込まれて宗介に助けられる話もあるのですが、いきなり婚約者が登場し、早々に作品世界から消えてしまいます。
何か、山口太一センセの担当者さんがそのまま登場していたのではという感じがヒシヒシと……。

ちなみにこの一巻では以降、二人ほど別人と思しい編集者さんがモブレベルで登場した後、中年のオッサン編集者が一度登場し、そこで漫画家としての宗介の描写はなくなります。

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■モブ編もそれぞれに可愛いです。


さて、ではいよいよ二巻登場の女性編集者を。

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■一回限りの登場です。

「堀内記者」。第二巻では漫画家としての描写はほとんどなくなるのですが、ごく初期に登場したのがこの人。
宗介は『4年の学習』に(つまり掲載誌そのものに)執筆しており、またこの頃の子供雑誌は独特のコミュニティ感があって、よく漫画家さんによる編集者さんの似顔絵、漫画のキャラクターとしての登場があったものでした。
そんなことから一種楽屋落ちとして、実在の編集者を登場させたのでは……という感じがします。先の二人のモブ編集者は名無しですが、この人もモブレベルなのに名前がクレジットで説明されていて、当時の楽屋落ちのムードってちょうどこういう感じだったのです。
もっとも、二巻では冒頭のこれを以降、この種の描写は最終回までなくなるのですが……。

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■目の描き方がもう、違います。

「新井記者」
この飛び抜けて可愛い編集者がいきなり、最終回に登場します。
ここで二巻最終回についても詳しく述べてしまいます。
もし知りたくない方はここで読むのを止めて、どうぞkindleでお買い求めください!

……さて、この最終回のサブタイトルは「そして荒馬はいなくなった」。
失踪した宗介を驚木警部が追う展開ですが、この新井記者、空っぽになった宗介の部屋に最終回の原稿が置かれているのを見て、「これでもう宗介に用はない」とばかりに早々に姿を消してしまいます。
編集部も「ヤツの漫画は今回で最終回だから、今回分の原稿さえあればもう用はない」とドライ。この現実と虚構が交錯する作品構造の中、宗介の失踪原因は新井記者にふられたせいでは、とぽろりと語られます。
う~む、ここまで露骨に描かれるところを見ると、逆に実話ではないのか……何かぼくの印象では実話っぽい気がするんですが……。

ともあれ、二巻は宗介が失恋して、話が終わったと言えなくもありません。
最終回の数話前のお話には、宗介が子供たちに「フツオ(当時の人気タレント)に似てる」「いや、似てないよ、フツオはモテるけど荒馬さんはモテない」とバカにされ嘆くシーンがあります。
(「子供たちから主役が嘲笑われる」シーンは『カゲマン』にも存在します)
丁度この頃、漫画の主人公たちは、かつてのように素直に読者たちから仰ぎ見られる存在ではなくなりつつありました。例えばですが、オバケのQ太郎だって「ドジでバカなヤツ」ではあれ、言わば読者代表的な子供たちと相対した時には、慕われる存在でした。
第一回でも『荒馬宗介』は「青年」が「少年」の憧れ足り得た最後の時代に描かれた作品と評しましたが、そんな時代が終わりつつあった……それが、先のシーンに象徴されています。
その先にあるのが、今回ご紹介した最終回。女性にはフられ、南の島に行くも、そこでも失恋したと思しきことが会話で語られ、とうとう最後には……第一巻が幸福な最終回を迎えたのに比べ、今回の最終回にはそんな、厭世観が漂っていたのです。

さて、以降、オチまで全部語ってしまいます。
宗介の渡った南の島に向かう驚木警部たちですが、またしても例の「妙な言葉を話す現地人」の登場。また怪獣とも何ともつかない空想上の動物がいきなり、さしたる説明もなく登場するという(だってこれ、ライオンとかでいいですもんね)、このナンセンスぶり!

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■「ガルバンリ」って何だ?

そして宗介は処刑寸前、UFOを呼んで逃げ出していきます!
そう、『COMIC GON!』だか何だかに紹介された、有名なオチです。
もちろん、では宗介は宇宙人だったのか、といった合理的な説明は一切なしで、柱に「最終回はリドルストーリーです」と一文あるのみ。
また、顔が見えない宗介ですが、ある種のお約束として、最後にその素顔を驚木警部たちに晒すものの、それは読者には明かされまいまま……という外しっぷり。
やはり山口センセ、普通にオチのあるような漫画には興味がなかったのでしょう。
しかし一番すごいのはここ!!
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■「略」。

何で会話を略すのか!
もう、最終回らしいことは何もしたくない、全てを放棄してぶん投げたいと思いながら描いていたとしか思えないこの無茶苦茶さ!
これが『荒馬宗介』の本質だったのでしょう。

スペシャル駄話『名探偵荒馬宗介』第四回

ども!
「女の子が本当に主人公のエロゲが(作ったこと)ないなあ」こと雛子一です。

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↑これですが、何か「fanza通販」って「fanza同人」と全然別口っぽいですね。
まあ、送料込みで千円のBOOTHで買った方が……ごにょごにょ
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さて、以前に特集した『名探偵荒馬宗介』の二巻が発売されました。
第一巻の特集は「荒馬宗介」タグでごらんください(多分、この宇宙で唯一の「荒馬宗介」タグだよな……)。
予告めいたことをしていたこともあり、二巻の方もちょっとここで軽くご紹介しておこうかと思います。
実のところこの第二巻に収録された年数の物は、今回初見の物ばかり(諸事情あって『荒馬宗介』は複数の年代に渡って読んでいたんですが……)。
そんなわけで、全く新作を読むような新鮮さで全作読み切ることができました。
そして今回、本作の特徴について、もう一つ思い当たったわけです。
第一巻については三回に渡ってレビューし、それぞれ本作を「青年」、「オヤジ」、「女性」という切り口から捉えてみました。しかし二巻目ではそれ以上に「シュールさ」というものが本作を特徴づけているように思えたのです。

具体的に見ていきましょう。
まずは「妖怪山父」。いえ、ご覧いただければこれまた単なる「ヘンなオヤジ」なのですが。彼は金太郎少年(宗介の下宿先の息子)の前に現れては、愉快犯的に(またかい!)彼をからかう存在。絵に描いた宗介にしゃべらせたり、押し入れの中から海を出現させたりと言った超能力を使います。ちなみに「山父」なんて妖怪、聞いたこともなかったので作者の山口太一センセの創作かと思いきや、四国地方の伝承にあるそうです。

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■こいつですね。

で、この超能力、推理物らしく一応の謎解きがなされるのですが……もう、それが本当に、どうでもいいようなもの(今、あなたが想像した通りの答えです)。
せっかくのミステリアスなムードが、合理的な推理で台なしになっているような……。
他にも絵の中の女が歩き出す、驚木警部が狐に化かされる、メイドロボット回など、オカルトめいた話が幾度も登場します。

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■前フリで荒馬宗介が描いている漫画に出て来る「スパイ風の男」もいかにも「当時の大人漫画」風です。

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■いや、女もオトコの子も、仮想のものに限りますね!

絵の中の女性が無意味にビキニだったり、メイドロボも驚木警部のセリフに見られるようにどことなくエロティシズムを感じさせます。というか、前回も山口センセは大人漫画畑の人であったことをご紹介しましたが、そうしたネタを子供向けにセックスの要素を非常に薄めて翻案した、という感じが、これらからはするのです。

それと、もう一つ。
前の記事でも山口センセはナンセンスネタが好きだったのだろうと書きましたが、「南の島の原住民が謎の言語を話す」ネタが二回も。

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■こういうの。

そう、驚木音頭や『マガーク探偵団』後期の表4でキャラクターたちが踊っていた、あの感じですね。どうもキャラクターたちが珍妙なリズムで踊ったりしゃべったりするのが、センセのツボだったのかなあ、と思わせます。

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■前巻まで地味なIDカードだったのがこれになった時は、何が始まったのかと思いましたよ、わたしゃ。


恐らくこの銀河で唯一の……kaitou.png

さて、以下はちょっと「怪盗」について。
先の記事にも書いたように、本作では怪盗が登場しては、特に逮捕されることもなくフェードアウトしていく傾向があります。本巻においてもそれは同じで、矢名完次、九盗太郎があんまり説明もなく登場しては、いつの間にかフェードアウトしていきます。
しかしそれ以上に、「一回(ないし二、三回)限りの使い捨て怪盗」が本巻、多すぎです。

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■大邸宅に住んでます。富豪探偵のパロディですかね。


まずは富豪怪盗・知能半太郎。本名を頭野卓。
矢名完次と知恵比べをするなどライバルキャラとして設定されたと思しいのですが、数回でフェードアウト。

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■クイズマンなのにイニシャルが「K」なのは気にするな。

クイズマン。犯行現場にクイズでヒントを残していく怪盗。『バットマン』のリドラー(ナゾラー)のいただきと思しいキャラですが、これも一回きり。ちなみに登場話のサブタイトルは「またまた出ました」となっていますが、これ以前に登場したこともありません
後もう一つ、これもまた本作に多い「狂言」ネタ。つまり「クイズマン」は「作品世界では実在するらしいが、登場はしなかった人物」なのです。『ドラえもん』の「むちゅう機」みたいな存在です(……って、何だその比喩)。

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■指名手配写真が出てくるなど、大物感が漂う。

怪盗ドロンドロン。
パリの怪盗。予告状を出し、美術品を狙う由緒正しい怪盗。敬意を表してか(?)荒馬もタクシーの運転手に変身して待ち伏せという活躍ぶり。しかし正統派過ぎたせいか、やはり彼も一回限りの出演。

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■そもそも矢名完次でよかったんじゃないでしょうか、この人。


怪盗割井八郎。
ちなみに、前巻でご紹介した矢名完次の子分と同姓同名ですが、別人の模様。劇中では仲間に「スナックに集合せよ」と暗号文を渡しているだけであり、一体どういう悪いことをしたのか全くもって不明。もちろん怪盗らしさも一切ないが、本人がそう名乗ってるんだから怪盗なんでしょう。

……以上でしょうか。
何というか、正直山口センセは怪盗に思い入れもなく、編集者がその場の思いつきでテコ入れとしての怪盗登場を要求するも、長続きせず……なんて場面を、つい想像してしまいます。
ことにクイズマンなど、編集者側の発案を持て余した感が濃厚。考えると一巻にも「出来心で悪巧みをした一般人の、思いつきの名義」にすぎない「怪盗999」というのが出てきました(スリーナインと読む。時代だね)。
さて、他にネタ的には「女性編集者」と、「伝説の最終回」が残ってるんですが、もう疲れました。
分量的には大したモノにはなりませんが、以降は次回に持ち越させていただきます。
それではまた。

スペシャル駄話『名探偵荒馬宗介』最終回!!

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さて『名探偵荒馬宗介』、いよいよ最終回です。
(お読みになっていない方は、前回、前々回からどうぞ→http://hiyokkokurabu.blog.2nt.com/blog-entry-80.htmlhttp://hiyokkokurabu.blog.2nt.com/blog-entry-81.html
ごく簡単にまとめておきますと、前々回で『荒馬宗介』は「青年」がまだ輝いていたころの作品であると、前回ではしかし本作の真の主役はシュールギャグを演じる「オヤジ」たちではないかと申し上げました。
しかし本作にはもう一つ、忘れ難い「女性」という要素が絡んできます。
『マガーク探偵団』のワンダもそうですが、山口太一先生の描く女性たちは(宗介と同じく)クールで妙な色気を感じさせるのです。
いえ、実際のところ女性が本筋に絡むお話というのはほとんどないのですが……。

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■ブスのケメ子と結婚させたい下宿のおばさんのせいで、かえってフラグが……とこうしたシーンもアダルトに見えたものです。


ごく初期において、宗介と若い女性編集者の微妙な関係が描かれます。
仕事仲間以上のものではないけれども、どこかフラグめいたものを感じさせる。上のお茶のシークエンスも、今でいうラッキースケベ的なものです。
もっとも宗介のキャラがクールなせいで、その距離感は今一掴めないのですが、この女性は三話で吉岡邦子という名前が明らかになると同時に(何故かこの人だけ駄洒落ネーミングじゃない……)、事件の容疑者となったところを宗介に救われます。
が! この後、しばしのお休み(未登場回)を経て、六話ではいきなりこの邦子さん、婚約者を伴って現れ、それを知った宗介が泣き崩れます!
宗介自身の邦子さんへの感情自体、ほとんど描かれてもいなかったのに、いきなり婚約者が現れ、いきなり失恋です。
以降、この邦子さんは漫画から姿を消してしまいます。この回は同時に金太郎君のガールフレンド桃子タンも初登場しており、ある意味ではヒロイン交代回と言えなくもありません。
その後は数回を経て、何の説明もなくまた別な若い女性編集者が登場して、「事件に首を突っ込んでいないで早く漫画を描いて」とのルーティーンが繰り返されることに。

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■新編集者。髪型を変えた同一人物という可能性もないではないですが……。

しかしこの編集者は名前も分からず、宗介との関係性も分からず、そのままフェードアウト。また恐らく別と思われる編集者が登場します。
年度の違うバージョンでは何だか幽霊みたいな顔の女性編集者が「○○美人編集者」といった肩書(○○には忘れちゃったけど名前が入ります)と共に登場していたこともありました。この時は「美人編集者」という言い回しをやけに何度も繰り返していた記憶があり、ひょっとして実在の担当者を登場させたのでは……いや、それを言うなら元々、上の邦子編集者もその後釜も実在の編集者で、山口センセが毎回毎回、本人をモデルに漫画を描いていたのでは……という気もしてしまいます。

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■さらに数回後の編集者。これは上と同一人物……?

作品中期以降は、一度中年男性の編集者に絞られている姿が描かれたのを最後に、編集者(漫画家としての姿)は描かれなくなります。
下宿のおじさんおばさんなども描かれなくなり、ケメ子も登場しなくなります。これは宗介の「青年」としての私生活が描かれなくなったということでもありますね。
そもそも、後期はまた前回書いたように宗介自身の出番も少しずつ減っていき、作品世界自体が変質していきます。
しかし最終回、いきなり登場するのが須越狂子さん。
驚木警部の姪っ子(?)なのですが、クールな女性揃いの本作の中で「何者かに部屋を覗かれ、錯乱している」という設定で登場します。

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■学研の作品で、この描写はかなり際どい?(NGワード:『まいっちんぐマチコ先生』)

え~と、最終回のネタバレまでしてしまっていいのか分かりませんが……(知りたくない方はここで読むのを止めて、是非kindle版を買ってください!!)実は上の事件は狂言で(またかよ!)、実は荒馬との結婚が目的であったというのがオチ。最初っから言わば主人公の嫁として準備されたキャラクターに、何とも言えずエロスを感じたものです。考えると、それが最終回(怪盗も登場しないのに!)というのも象徴的。
つまり本作は最初から宗介の女性関係が語られ、そして最後の最後にその結婚が暗示され、宗介の「青年期」の終わりを描き、終了した作品だと言えるのです。
その意味で、女性編集者が次々変わっていくのも宗介の女性遍歴、嫁捜しといったムードがなきにしもあらずです。
更に言えば、荒馬宗介自身が自分をモデルにした『荒馬宗介』という漫画を描いている、完全に作者である山口センセの分身。ちょっと何か、センセの実生活がどうだったのか気になるところではありますが、まあ、それはゲスの勘繰りというヤツかも知れません。

……さて、『荒馬宗介』特集、いかがだったでしょうか。
続刊が出ればまた、ちょっとご紹介したいところではありますが、その前に何とかゲームについての進展をお伝えできれば……と思いつつ、今回はこんなところで。

スペシャル駄話『名探偵荒馬宗介』第二回

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さて、前回に引き続き、『名探偵荒馬宗介』についてご紹介していきましょう。
(お読みになっていない方は、前回からどうぞ→http://hiyokkokurabu.blog.2nt.com/blog-entry-80.html
今回は肝心の推理要素について。
本作の印象を、ぼくは前回、大変アダルトに感じたと書きましたが、実は第一話(今回の復刻版でも第一話として扱われた、1978年四月号掲載分)の推理がめちゃくちゃに難しく、そこもアダルトであるとの印象を持つのに一役買っていました。
何しろ今回の再読ですら、正直わけが分からなかったほど。時刻表トリックならぬ路線図トリックとでも称するべきもので、今から思うと著者の趣味(旅行とかが好きなのかなと思わせる描写が随所に登場します)が生かされていたのかな、という気がします。

ところが、これ以降はそれほどでもなくなります。非道いのが二話目で、敵が旅行中の宗介を変装して張り込むが、温泉で(変装前と)同じタオルを使っていたことから正体がばれ、お縄……って、本当にただそれだけのお話。
いや、それより問題は変装に気づいた宗介がこの男に殴りかかるのですが、この時点では相手は「単に変装している人」だぞ! のくせ、最後にこの男、刑務所に入っているし。
一応、その男は怪盗の手下であり、宗介の原稿を盗もうとしていたのですが、(宗介はそんなことは分かっていなかったはずだし)あくまで未遂であり、そんなことでムショにぶち込まれるかなあ。まあ、余罪があったと考えればいいんでしょうが。
いえ、問題はそもそも、宗介の原稿が狙われた理由。
それは宗介がライバルの怪盗・矢名完次をモデルにして、笑いものにした漫画を描いていたから。ブチ切れた矢名が子分に原稿を盗ませようと宗介をつけさせて……というのが、話の大筋なのです。
おい荒馬宗介、お前の方こそ名誉棄損だろう。『石に泳ぐ魚』事件を知らないのか!?

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■この人、この時点では単に「変装してるヘンな人」です。

それ以降もとにかくお話のオチとして、「被害者本人の狂言」「共犯者がいた」というものが多すぎる感があります。一応、クイズライター的な人がブレーンになっているのですけどねえ。
また、推理そのものがそうしたクイズ的というか、「犯人の差し出した暗号文を解く」という(いささか安直な)パターンが多すぎです。
逆に上のお話でも変装の方法が妙にリアルに描かれており、そうした探偵もの的ディティールや、メインではなくちょっとしたサブの謎解きなどが随所にちりばめられており、そこは著者のサービス精神が感じられます。

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■怪盗矢名完治を追跡する金太郎君と桃子ちゃん。
ぼくならこのルックスのオヤジを尾行する度胸、ありません。


そうそう、上にも書いたように、荒馬宗介には矢名完次といった敵怪盗も設定されておりました。
こうした、ことに子供向けの探偵ものといえば怪盗こそが作品の華。『カゲマン』でもカゲマン、シャドーマンを差し置いて19面相こそが一番人気であったといいます。
ところが――どうしたことか、怪盗は思ったほどには前面に出てきません。上にも「狂言」と書きましたが、怪盗の名を騙った一般人の犯行、というパターンが異常に目立つのです。中には別に矢名完次本人で別にいいと思えるのに、最後の最後で一般人の変装というオチをつけたのもありました。
また、そもそも(やはり当初のトリックが難しいとの声が多かったからでしょうが)中期以降は怪盗のほとんど無意味な珍奇なだけの愉快犯的犯行、というパターンが目立ち、これもどうかと思いました。

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■切手を盗むため、刑事を眠らせるために出てきたのですが……何故にこの格好?
しかし「福水」って何? 妙に飲んでみたかった思い出。


さて、年度が『四年の学習』から『五年の学習』に移ると、矢名は特に決着の描かれることもないままに姿を消し、いきなり九盗太郎(いちじくとうたろう)という怪盗が登場します。

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■「一字で九だからいちじくと読む」というのは作者のお気に入りのネタなのか、別な漫画では同名の少年キャラが登場したこともあります。

しかし、まあ、やることは別段変わりなし。世界的大怪盗のクセに的屋のオヤジみたいな顔をしている矢名に比べると、「スーパーマンみたいな格好をした、単なる子供向け漫画の怪盗」であり、面白味はありません(矢名はアロハなどを着ていることが多いのですが、イメージとして宗介に語りかける(つまり現実の矢名ではない)シーンでのみスーパーマン的スタイルで現れるという、妙なこだわりが見られます)。
また、『五年の学習』では一時期、変人科学者の只野天災がセミレギュラーとして活躍、『六年の学習』になると「その回だけのゲストキャラである妙なオヤジが一コマ目から登場し、主役的に活躍する」というパターンが増えてきました。
こうした、「漫画家が作品世界に飽きてしまい、気づくと延々別の話を描いている、主人公たちはちらっと顔見せするだけになってしまう」といった展開、90年代初期辺りまではたまに見たパターンなのですが、初志を貫徹できないのはどうかと感じ、当時はあまり好印象がなかったのですが(……って、そんなことを考えていたんだから、嫌なガキだね)。
作品後期はそうした妙なオヤジが怪盗の子分、或いは変装であるとだけ説明され、怪盗の姿は一切登場しない話が続き、結局「九」との決着も、ラストまでつけられないままというアンチクライマックス。
しかし、まあ、そうした作品カラーに対する評価は置くとして、やはり読み直してみると、こうした「ヘンなオヤジ」が縦横無尽に活躍する、ナンセンス、シュールギャグこそがこの作者の持ち味であったのではないかと、つくづく思われます。
主人公側にも驚木桃太郎警部というメグレ警部役がおり、「ヘンなおじさん」キャラとして縦横無尽の活躍をしていました。

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■この人。驚木音頭は覚えている人も多いでしょう。

つまり本作は、クールな「青年」を主役に据えて探偵漫画の体裁を取りつつ、ヘンな「オヤジ」が真の主役として活躍する、シュールギャグ漫画であったのです。
さて、「青年」、「オヤジ」で基本、本作のファクターは出揃っているのですが、ぼくとしてはどういうわけか、(決してメインを張ることのなかった)本作の女性陣こそが印象に残っています。次週辺り、「荒馬宗介の華麗なる女性遍歴(?)」について語ってみましょう。

スペシャル駄話『名探偵荒馬宗介』

お久し振りでございます、みな様。
夏コミ以前に更新したかったのですが、諸事情で適わず。
まだ新情報をお届けできる域に達していないのですが、ともあれ、(どれだけいらっしゃるか分からないのですが)定期的に足を運んでくださるみなさまのため、生きていることだけは伝えておこうと今回、更新することにしました。
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さて、では今回の駄話のネタは『荒馬宗介』。
ご存知でしょうか。ある時期の『学研の学習』に連載されていた漫画作品。作者の山口太一先生は『マガーク探偵団』シリーズの挿絵を担当したことでも知られ、とある世代の人々には強烈な印象を残す作家さんです。
さて、そんな『荒馬宗介』がKindleで復刻したので早速買って読んでみました。
ン十年ぶりの再読で感じたのですが、見るに山口先生は大人向け、それもナンセンスなものをホームグラウンドとする人ではないかということ。wikiで見てみるとまさにその通りで、ある意味、推理ものは得意ジャンルではなかったのではないか……と。
まあ、感想ばかりいっていても始まりません。まずは簡単に作品のご紹介を。
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はい、これが我らが主人公、荒馬宗介です。
『カゲマン』もそうですが、素顔の分からない、どこか得体の知れなさを秘めた人物です。探偵には神秘性が必要と考えられていたのでしょうか。
カゲマンも比較的クールなキャラでしたが、この宗介もそうで、当時のぼくの印象はとにかく大人っぽい漫画、というものでした。
探偵であるが故、クールに全てを見通していないといけませんし。また、下宿先の少年、金太郎に「おじちゃん」と言われている辺りからも、キャラのアダルトさを感じさせます(今回の復刻版にはありませんでしたが、確か29歳という設定が語られたこともあります)。

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■着物の方がケメ子、もう一人が下宿のおばさん。あからさまな“ブス”が登場したのもこの時期の漫画の特徴です。

また、当初はこの下宿先のおばさんが宗介を姪の(?)ケメ子と結婚させようとするが、宗介は担当編集者(彼の本業は漫画家なのです)が好きで……といった三角関係が描かれてもおりました。

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■宗介の担当編集者。こんなシーンもあったりして、そこがまた大人っぽさを感じさせます。


見ていて感じられるのは、自由業で普段からぶらぶらしている独身男性、というものに対する憧れのようなもの。漫画家としてはいつも編集者に叱られてはいるものの、それが美人のため、どこか「ご褒美」なムードを漂わせている。知恵が回り、意外に身体能力も高く、子供にも憧れられ、女性からも愛される対象となっている「青年」というのが、まだこの時代には普通だったわけですね。もちろん、宗介に横恋慕するケメ子はものすごいブスとして描かれてはいるものの、「一応の、評価の対象」となっているところが重要なわけです。
『オバQ』では伸一兄さんのオープンリールのテープレコーダに、カメラに、ステレオに正ちゃんやオバQが憧れるシーンが度々登場します。もちろん、伸一兄さんは大人ではないものの、当時の「青年」は経済力やホビーについての知識など、が憧れられる要素を持っていました。そんな最後の時代に描かれた、「青年ヒーローが主役の少年漫画」が本作だったと言えるのです。

――というわけで、今回は作品の基本設定の紹介に留まりましたが、来週辺りまた、もうちょっと詳しい作品評をお送りしたいと思います。
どうぞ、またいらっしゃってください。
プロフィール

雛子一

Author:雛子一
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ようこそ!
管理人の「雛子一」です。
メアド変わりました!!
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