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 さて、以下は広告消しの駄話です。
『ニューダンガンロンパV3』ですが、不評を受けて「公式」が自虐CM的なものを打ち始めています。

う~ん、広告消しのはずなのに広告っぽいモノを貼ってしまった……。
 ↑これね。

 う~ん、こういうのって例えば『MUSASHI GUN道』みたいな制作者の力不足や計算違いで失敗したものを自虐するならば好感が持てるのですが、確信犯で炎上させておいてぬけぬけとやられてはムカつくだけなんじゃないでしょうかね。
 本作については前回いろいろと書きましたし、言いたいことは大体言い終えてはいるのですが、あの後、おまけのミニゲームをやったので、ちょっとそちらの感想など。

 ミニゲームについては、スタッフから「おまけと言えない、それだけで別売りできるようなボリューム」といった趣旨の発言がなされておりました。
 なるほど、その言葉に違わずおまけは「だんがん紅鮭団」、「超高校級の才能育成計画」、「モノクマの試練」と盛りだくさん。また、本編中にも本編終了後もプレイできる形でカジノも用意されています。
「紅鮭団」は「だんがんアイランド」などと同様の、本編のギャルゲー要素を再編集したもの。「愛の鍵」イベントというものが用意され、従来作のそれよりも(イベント絵はないものの)ギャルゲー要素がパワーアップしています。
「モノクマの試練」はファミコン時代の『ドラクエ』のムードを再現したRPG。
「育成計画」は一種のすごろくゲーム。ここで『1』から『V3』に至る全キャラクターを育成し、そして「モノクマの試練」に投入する仕掛けです。
 中でも一番、注目されたのは「育成計画」ではないでしょうか。旧キャラと新キャラが全員集合し、立ち絵と(パートボイスとはいえど)音声つきで会話を交わすというのはファン誰もが夢見た光景です。これを楽しむことで、今回の首謀者がぼくたちに投げかけた言葉を、ぼくたちは否定できるのではないでしょうか。
 もっとも、このモードは前回書いたような、あんなオチの後にしか解放されず、素直に楽しめない、といった声も聞こえては来ますが……。

 さて、ちょっと話は変わりますが、去年は『シン・ゴジラ』、『君の名は。』、『この世界の片隅に』といった特撮、アニメ映画の傑作が次々と発表され、大きな話題を呼びました。
 多分、みなさんも既に似たような意見はどこかで見聞なさっていることでしょうが、これらの作品がヒットした大きな要因は、「喪失の後」というモチーフを共通して持っているからではないでしょうか。
『シン・ゴジラ』では中盤で内閣首脳が全滅してしまい、若手の政治家たちが活躍しますし、『君の名は。』はまるで『ドラえもん』にでもありそうな、「既に起こってしまったカタストロフ」を阻止することが物語の主眼でした。『この世界の片隅に』は喪失そのものはクライマックスに当たるわけですが、やはり「その後」が大事であることに変わりはありません。
 これらは311の震災のメタファーである、といった解説がされることが多いでしょうが、同時に二十年かけて衰退した日本に住んでいること自体が、大きな「喪失の後」とも言えます。
 そして更に、不況や震災といったモチーフのみならず、そもそもオタク文化が「学生生活」を舞台にするのは、ぼくたちが「喪失の後」から、「あったかも知れない幸福な学園生活」を何かしらに見出したいという欲求に駆られているからに、他なりません。オタク文化は、そうした個人的な「喪失」を補完するためのメディアでした。
 だからこそ、実は311以前の作品である初代『ダンガンロンパ』にも、近しいモチーフが見て取れるのです。

 ぼく自身は、本作のファーストインプレッションはアニメだったのですが、作中で「既に死んだ仲間たちが楽しげに笑っている」写真を見つけるシーンが、大変印象に残りました。
「ぼくたちはここで初めて出会い、コロシアイに巻き込まれたのに、そんなぼくたちが死んだ仲間含め、仲よく楽しげに青春の日々を過ごしている」。
 何故そんな写真があったかについてはもちろん、劇中で謎解きがあるわけですが、「喪失の後」に、そうした「あったかも知れない幸福」を見出してしまうというシチュエーションに、ぼくは大変心揺さぶられました。
『ダンガンロンパ』は才能に恵まれた者たちが凄惨なコロシアイを行うゲームです。それが現代の格差社会に生きる者にとってのある種の慰めとなったことが、本作品のヒットのひとつの要因です(だから、『V3』劇中のまことが平和であるが故に刺激を求めてコロシアイを鑑賞しているというのは、作品の本質とは乖離した設定です)。
 しかしそれだけではあまりにも切なすぎるから、超高校級たちの楽しげな青春を体験することを、上に挙げた「幸福な学園生活のスナップ」を更に推し進めたものを、ファンは望みました。
『スーパーダンガンロンパ2』で「あいらんどモード」が実装されたのはそれが理由だったはずです。このオマケ要素は「無残に若くして咎なく死んでいった少年少女たち」が楽しく暮らす仮想世界でした。
 となると今回の「育成計画」はその更なる延長線上にある、究極のファンアイテム()となるべきものでした。
 ところがこの「育成計画」、全キャラの登場、掛けあいがあるのは嬉しいのですが、上に書いたように使い回しの立ち絵にパートボイスのみ。卒業式くらい新録ボイスがあるのではと思っていたのですが、それは一切ありませんでした。
 ちょっとこれについては、納得がいきません。何しろ本編に登場する「偽物」は実に饒舌にしゃべっていたのですから、その時にこちらの音声を録ろうと思えば録れたはずです。
 一方、条件を満たせばアニメ『3』のキャラたちが登場する(ドットキャラとしてであり、育成キャラではありませんが)モードなどまでが用意されていたりして、随分と凝っています。作り込む余裕がなかったという感じでもありません。
 こうなると、ボイスがないこと自体が、作り手たちの強烈な悪意とすら、ぼくには思えてくるのですが。
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